モンテッソーリ教育ー子どもたちは自己教育力を持っているー

前回ご紹介した海外と日本の学校の違いに続き、
今回は海外で誕生した教育法についてご紹介したいと思います。

まずは「モンテッソーリ教育」について。

この教育法は、
子どもたちは生まれながらにして自ら知ることを強く求め、
自分を育てる「自己教育力」がある。
そして、環境(物的環境・人的環境)を整えることによって、
子どもの成長、発達を援助するという教育法です。

モンテッソーリ教育の目的は、それぞれの子どもの発達段階に合わせ、
「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢をもった人間に育てる」こと。

考案者は、
イタリアのローマで精神病院の勤務医であり、教育者のマリア・モンテッソーリ。
イタリア初の女性医学博士でもあります。


彼女は知的発達遅滞児の教育担当者として子どもたちを観察し、
そこから得た事実と情報を基に世界中の治療教育を研究した結果、
感覚の発達が知的発達に先行し「感覚体験があらゆる教育の基盤にある」
という確信にたどり着きます。


そして、独特の体系をもつおもちゃ(教具)を開発するなど
モンテッソーリ教育法を確立させていきます。

人間として完成するのは24歳頃とされており、
それまでの発達段階を4つの異なる期間とし、
その各段階に、異なる特徴、学習モード、活発な発達欲求があると考え、
それぞれの段階に特有の教育的アプローチを求めました。

第一段階:出生~6歳
第二段階:6~12歳
第三段階:12~18歳
第四段階:18~24歳

※各段階は6年幅をもち、3年からなる前期・後期に分けられます。

日本でよくモンテッソーリ教育が導入されているを聞くのは
第一段階の時期ですね。
これは日本の決まった教育制度による影響が強いかもしれません。

モンテッソーリ教育は、教師(大人)の価値観で一方的に教え込もうとするのではなく、
子どもの興味や発達段階を正しく理解し、
子どもから自発的に出てくる「知りたい」「やってみたい」という
興味や関心に応じた環境をつくり、
自ら考え、挑戦することで得られる達成感を通じて、
子どもたち一人ひとりの個性を伸ばしていきます。

子どもたちを、身体面、社会面、情緒面、認知面で発達させることを目指し、中核的側面には

①日常生活の練習
②感覚教育
③数教育
④言語教育
⑤文化教育

があります。

現代の大脳生理学、心理学、教育学など、多方面からも証明されており、
今日では、時代や文化の違いを超えて世界110以上の国で実施。
世界中で支持され続けています。

何よりも子どもが主体の教育法であり、
子どもの自発性を尊重し「自己教育力」を活かしたメソッドであることが
世界中で支持され続けている理由でしょう。

ご紹介しましたモンテッソーリ教育。
幼稚園、保育園などで受けられていたお子さま、
またご家庭でも取り入れ実践されている方もいらっしゃるかもしれません。

モンテッソーリ博士は、この教育法の普及と教師の養成に精力的に取り組み、
多くの著作を残しました。
晩年には、平和と子どもの生命の尊重を訴える運動を展開し、
ノーベル平和賞の候補にもあげられたそうです。

世界的な教育者を称え、
最後に、モンテッソーリ博士の墓碑銘に刻まれている
メッセージで今回のコラムは終えようと思います。

「愛する全能の子らよ、人類と世界平和のために、私と力を合わせよう」
マリア・モンテッソーリ